https://www.sankei.com/resizer/YT0889S6pTR4ZAQhr1kA57IGFMQ=/0x224/filters:focal(2772x1453:2782x1463):quality(70)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/QWNDJRMZOBMN5DPCR6O4YWSOC4.jpg
空母化に向け改修工事中の護衛艦「かが」
海上自衛隊史上最大の護衛艦であり、シンボル的存在となっているのが「いずも」型だ。11月6日に行われた国際観艦式においては、岸田文雄首相が乗り込み、式典の中心である観閲艦としての重要な任務を遂行した。その他にも毎年行っているインド太平洋方面派遣訓練や各種多国間訓練などにも「いずも」型が派遣されており、外国軍からも一目置かれている存在だ。
https://www.sankei.com/resizer/LZ7YFROLbVrHBtgZ3W0r9HA_tjo=/0x224/smart/filters:quality(70)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/5P4ANNOUUVOJXHO6OPXA5G32HQ.jpg
いずものF旗
この「いずも」型は、2015年3月25日に就役した「いずも」と、2017年3月22日に就役した「かが」の2隻がある。今後この2隻は、空母へと改修され、日本の安全保障を語る上で極めて重要な存在となる。
かつての日本では空母保有を議論することすらタブー視されていた時代もあったことを思うと驚くばかりだ。
すでに「いずも」は、2020年3月に第1段階目となる改修工事に入り、21年6月25日に母港である横須賀へと戻ってきた。この時主として行われたのが飛行甲板の改修だった。艦載機となるF―35Bが、発着艦の際の目印として使うための各種ラインを引き、ジェットエンジンの熱に甲板が耐えられるような耐熱加工などが行われた。
そして、2021年10月3日、洋上にて、米海兵隊のF―35Bを使った発着艦試験が実施された。海自護衛艦に初めて固定翼機が着艦した歴史的な日となった。試験は問題なく終了した。
これまで海自では護衛艦上にてヘリコプターを運用していた。発着艦させる際、護衛艦のマストには、Hを表す信号旗が掲げられる。これは「回転翼機を運用している」という意味だ。しかしながら、その歴史的な日のマストにはF旗が掲げられた。これは「固定翼機を運用している」ことを意味し、Fとしているのはファイター(戦闘機)の頭文字にちなんでいるという説がある。当然、このF旗を掲げたのも海自初だ。そこで「いずも」では、このF旗をガラスケースに入れて大事に保存することにした。F旗の四隅には、F―35Bのパイロット2人と航空関係士官2人の計4人のサインが書き込まれている。
続いては「かが」の番だ。2021年度予算で約203億円を改修費として計上した。そして2022年3月より改修工事へと入り、現在も作業続行中だ。艦首側の甲板形状を変更するなど、「いずも」の時よりも大掛かりに行われている。2艦とも今後、2~3回程度の改修を行い、2026年頃に完全なる空母となる計画で進んでいる。併せて、来年度から航空自衛隊へとF―35Bの配備が開始される。以降、毎年調達及び配備していき、空母「いずも」型は完成する頃には、予定総数42機がそろう。
マストに当たり前のようにF旗を掲げ、日本の領海を守るために警戒監視に付く「いずも」「かが」の姿を我々は間もなく目にすることができる。
■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力―各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子―リクメン』(コスミック出版)など。
https://www.zakzak.co.jp/article/20221216-PRIE2RSYZFIXPGFHHNRCALSEO4/
空母化に向け改修工事中の護衛艦「かが」
海上自衛隊史上最大の護衛艦であり、シンボル的存在となっているのが「いずも」型だ。11月6日に行われた国際観艦式においては、岸田文雄首相が乗り込み、式典の中心である観閲艦としての重要な任務を遂行した。その他にも毎年行っているインド太平洋方面派遣訓練や各種多国間訓練などにも「いずも」型が派遣されており、外国軍からも一目置かれている存在だ。
https://www.sankei.com/resizer/LZ7YFROLbVrHBtgZ3W0r9HA_tjo=/0x224/smart/filters:quality(70)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/5P4ANNOUUVOJXHO6OPXA5G32HQ.jpg
いずものF旗
この「いずも」型は、2015年3月25日に就役した「いずも」と、2017年3月22日に就役した「かが」の2隻がある。今後この2隻は、空母へと改修され、日本の安全保障を語る上で極めて重要な存在となる。
かつての日本では空母保有を議論することすらタブー視されていた時代もあったことを思うと驚くばかりだ。
すでに「いずも」は、2020年3月に第1段階目となる改修工事に入り、21年6月25日に母港である横須賀へと戻ってきた。この時主として行われたのが飛行甲板の改修だった。艦載機となるF―35Bが、発着艦の際の目印として使うための各種ラインを引き、ジェットエンジンの熱に甲板が耐えられるような耐熱加工などが行われた。
そして、2021年10月3日、洋上にて、米海兵隊のF―35Bを使った発着艦試験が実施された。海自護衛艦に初めて固定翼機が着艦した歴史的な日となった。試験は問題なく終了した。
これまで海自では護衛艦上にてヘリコプターを運用していた。発着艦させる際、護衛艦のマストには、Hを表す信号旗が掲げられる。これは「回転翼機を運用している」という意味だ。しかしながら、その歴史的な日のマストにはF旗が掲げられた。これは「固定翼機を運用している」ことを意味し、Fとしているのはファイター(戦闘機)の頭文字にちなんでいるという説がある。当然、このF旗を掲げたのも海自初だ。そこで「いずも」では、このF旗をガラスケースに入れて大事に保存することにした。F旗の四隅には、F―35Bのパイロット2人と航空関係士官2人の計4人のサインが書き込まれている。
続いては「かが」の番だ。2021年度予算で約203億円を改修費として計上した。そして2022年3月より改修工事へと入り、現在も作業続行中だ。艦首側の甲板形状を変更するなど、「いずも」の時よりも大掛かりに行われている。2艦とも今後、2~3回程度の改修を行い、2026年頃に完全なる空母となる計画で進んでいる。併せて、来年度から航空自衛隊へとF―35Bの配備が開始される。以降、毎年調達及び配備していき、空母「いずも」型は完成する頃には、予定総数42機がそろう。
マストに当たり前のようにF旗を掲げ、日本の領海を守るために警戒監視に付く「いずも」「かが」の姿を我々は間もなく目にすることができる。
■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力―各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子―リクメン』(コスミック出版)など。
https://www.zakzak.co.jp/article/20221216-PRIE2RSYZFIXPGFHHNRCALSEO4/